「一緒に走ろう!」

彼女のこの一言で、途切れていた私の夢はつながった。

私たちは同じ高校に入り、彼女はまだ走っていた。
私はマネージャーだった。

高校三年生、
インターハイ。
ここでいい成績を残せば彼女の夢に大きく近づけるチャンスだった。

長い距離を走り終えた結果は――
――三位。
この結果は夢に大きく近づいたと共に夢が一つ叶った瞬間だった。

翌日、彼女は寝返りをうつことも、そのてで自分の涙を拭くことも出来ずに
白いベットの上で寝ていた。

脊髄損傷――
――それが彼女の悪夢だった





Reality can destroy the dream・・・・・・

『現実は夢を壊すことがある・・・・・・』





インターハイの帰り、私達は交通事故にあった。
奇跡的に私は軽傷ですんが、彼女は・・・・・・



彼女は丸一日泣いていた、二日目には少し収まっていた。
三日目になると泣きもせず、声を出すこともしなかった。
そんな何もしない状態がつづき、三週間が経とうとしていた。

「ありがとう」

その時に彼女から聞けた最後の一言だった。

彼女の決断はお互いの人生を別々に歩んで行こうと言うものだった。
彼女は私のために出した決断だと言ってくれた。
私もそれに同意した。

彼女と会うことなく一年が経っていた。
私は髪を切った。

彼女は今何をしているのだろうか?
あの悪夢さえなければ彼女はまだ走っていただろ。
夢に向かって走っていただろう。

けど――



――私なら走れる。

彼女の夢をつなぐために。
私の出来る唯一の恩返しだから。

もし彼女がみているのなら。

もし彼女が目の前にいたら。

もし声がでるのなら――

――聞いて欲しかった私の歌を・・・・・・





Reality can destroy the dream,
why shouldn't the dream destroy reality?

-George Moore

『現実が夢を壊すこともある。
だから、夢が現実を破壊することもあってもい いじゃないか。』

―ジョージ・ムーア