作者:天地・白夜




  今までのあらすじ:
突如として現れた謎の武装集団、そしてレイヴンと名乗る男。
キャリデオ組織の一員である一馬はすでにレイヴンと二回の戦闘を終えていた。
その二回目の戦闘で助けた少女が偶然にも小学時代の同級生だった。
一馬がその少女(名前:奈々)と仲良く挨拶を交わしていると、
見知らぬ三人の少年達が一馬の前に現るのであった・・・・・・

西暦2019年
11月4日月曜日
PM 1:05


少年A
:「おいおい、敵を取り逃がしておいて女といちゃいちゃか?」



 外国人であろう少年Aが一馬達に、見下すように問いかける。


少年B
:「Phew〜《ヒュ〜》」



 見た目からして、金髪で黒人の、英国人であろう少年Bが、陽気な口笛を吹く。


少年C
:「サーチェさん、抑えてくださいよ・・・・・・」



 困った様子の少年Cが少年Aに言う。


サーチェ
:「何おだ?」



 何を抑えればいいのかをまったく理解していない、サーチェ。


少年B
:「You're Cute ! You're free today ? 《君、可愛いね! 今日あいてる?》」



 状況を理解できずに固まっていた奈々に少年Bが話しかける。


少年C
:「バレルさん! いきなり女性を口説かないでください!」



 少年Cは軽く少年Bをしかる。


一馬/奈々
:「・・・・・・だれ?」



 いまだに状況を理解できない一馬と奈々。


メイリン
:「カズマー! 大丈夫?」



 メイリンがカズマに安否を尋ねながら近づいてくる。


一馬
:「怪我一つないいぞ!」


メイリン
:「大丈夫だった? 私のシールドブーストちゃん!」



 大好きなぬいぐるみに抱きつく少女のようにシールドブーストに飛びつくメイリン。


一馬
:「俺の心配をしろよ!」


サーチェ
:「メ、メイリン!」



 メイリンに気づいたサーチェが驚き、声を上げる。


メイリン
:「サーチェ?!」


一馬
:「・・・・・・知り合い?」



 またも置いてけぼりにされてしまう一馬。


メイリン
:「何でアンタがここに入るのよ!」


サーチェ
:「それはこっちらのセリフだ!」


一馬
:「だから何なんだ、この状況は?」


玲音
:「その説明は私が」


一馬/奈々
:「うわぁ!」



 突然姿を現した玲音に驚く一馬と奈々。


玲音
:「失礼ですよ、人を幽霊みたいにあつかって」


一馬
:「いつから?」


玲音
:「メイリンがここに来た後すぐです」


奈々
:「あ、あなたは?」


玲音
:「新條 玲音です」


奈々
:「え〜と、私は――」


玲音
:「―― 安藤 奈々、知ってます」


奈々
:「え! なんで?」


玲音
:「そんなことより、今は説明です」


一馬
:「たのむ」


奈々
:「うん」



 奈々は戸惑いながらもうなずく。


玲音
:「まず、あの3人は私たちとは別の支部です」


少年C
:「どうも」



 少年Cが軽く答える。


玲音
:「あの金髪の人が、バレル・D・ロイド」



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バレル
:「Hallo- ! 《ハロー!》」



 バレルは陽気に答える。


玲音
:「次にとくに特徴の無い、長瀬・透」



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:「特徴の無いって・・・・・・どうも、よろしくお願いします」



 少年Cは引きつった笑顔を浮かべながらも、礼儀正しく挨拶をする。


玲音
:「最後にあの小さいのがサーチェ」



 まるでどうでもいいかのように名前を告げる。



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サーチェ
:「小さいだと!」



 サーチェは拳を握り締める。


バレル
:「Calm down !《落ち着け!》」



 手馴れているかのようににサーチェを抑える。


奈々
:「あれ?この人って名前しかないの?」



 サーチェを指差す


サーチェ
:「そこの女! この人とは何だ! この人とは! あと、指を差すな!」



 サーチェは再び苛立ち始める


メイリン
:「あれ〜、まだフルネームかくしてるんだ〜」



 メイリンは小悪魔のような笑みを浮かべる


サーチェ
:「何かもんくがあるのか!」


メイリン
:「そんなに怒らないの、これあげるから」



 子供と接するように、メイリンはサーチェにアメをあげた。


サーチェ
:「お前は!オレを――」


メイリン
:「―― ミルちゃん♪」



 その瞬間、すべてが崩れたかのような絶望を浮かべる、サーチェ・ミル・ネイン



:「ドンマイです」



 透はサーチェの肩に手を置き、なだめる。


奈々
:「へー、ミルって言うの?」



 メイリンに尋ねる。


メイリン
:「そう!フルネームはサーチェ・ミル・ネイン。呼び方、ミルちゃん、ネインちゃんどちらでもどうぞ〜」


奈々
:「ミルちゃん、ネインちゃんかー。どっちも可愛くていい名前だね」



 サーチェは一瞬にして、崩れ落ちる。


玲音
:「お似合いですね」



 その言葉が止めをとなったのか、動かなくなってしまう。


一馬
:「おいレイ、やめておけ。一応男なんだからな・・・・・・」


サーチェ
:「一応とはなんだ! 一応とは!」



 サーチェは勢い良く立つと、一馬に飛びつく。


一馬
:「うあ!」



 体当たりをしたかのようなに、ぶつかった音がする。


一馬
:「あれ?なんともない・・・・・・」



 一馬には何も起きず、サーチェも視界から消え、砂埃だけが立っていた。


女性A
:「う〜ん、トウチャ〜ク♪」


一馬
:「この声と――」


玲音
:「―― この大胆さは――」



 立っていた砂埃が晴れてゆく。


一馬/玲音
:「―― 鈴ねぇ・・・・・・」



:「ハーイ!カズ、レイ」



 鈴が一馬と玲音に近づくと、すかさず抱き寄せる。



suzu


一馬
:「ちょっと!」


玲音
:「あの〜」



:「何恥ずかしがってんの〜」


一馬
:「いいから、放してくれって」


玲音
:「いいから、放してください」



 一馬と玲音の声が重なって聞こえる。



:「ま、いっか」



 特に何もせずに一馬達を放す。


一馬/玲音
:「フー」



 開放された一馬と玲は一息つき、そして現状気がつく。



:「サーチェさんしっかりして下さい! サーチェサン!」



 透は倒れているサーチェをひたすら揺さぶっていた。


一馬
:「・・・・・・い、いったいなにが?」



 一馬はあまりにも理解不能な状況に顔を引きつる。



:「白目を向いてるわね」



 鈴はサーチェの顔を覗き込む。


玲音
:「さっきその人の上に着陸してましたよね?」



:「確かに着陸したときに何か踏んだような?」



 どうでもいいかのように思い出す。


奈々
:「着陸って・・・・・・」



 どうにも状況を飲み込めない奈々が頭を抱える。


一馬
:「いったいどこから飛んだんだよ・・・・・・」



:「ヘリからに決まってんじゃん」



 まるで飛び降りることが当たり前かのうに答える。


一馬
:「けどパラシュートは?」



:「あんな高度低いのに使うわけないでしょ」


一馬
:「せめて着陸地点は確認してから、飛べよな」


奈々
:「ツッコムところ違うと思うけど・・・・・・」



 さらに頭を抱える、奈々



 そして、現状は・・・・・・


バレル
:「You smell delicious. 《あなたは美味しい匂いがするね。》」



 バレルは鈴にナンパを仕掛ける。



:「それは無理な話ね〜、カズ以外興味ないから♪」



 笑みを浮かべながら明るく答える。


メイリン
:「おーい、起きろー、ミルー」



 メイリンは倒れているサーチェをつつく。


サーチェ
:「・・・・・・・・・」


メイリン
:「反応なし」


玲音
:「惨めですね」



 玲音はサーチェを見下す。



:「サーチェサーン!」



 透は叫びながら、サーチェを抱きかかえる。


奈々
:「もう、ついてけない・・・・・・」



 奈々は頭を抱えるのもやめ、現状を理解することをあきらめる。



:「ちょっとどいて〜」



 そう言うと、鈴はサーチェの近くにいた、玲音、メイリン、透をどかす。



:「な、なにお?」



 サーチェのことが心配なせいか、不安な気持ちで鈴に尋ねる。



:「心配ないって。これでも医者の免許もってんだから」



 鈴は投げやりに答える。



:「どれどれ〜」



 鈴はサーチェの腕、腰、背中、主に上半身を確かめる。



:「意外とまともですね。少し安心しました」



:「えい!」



 関節技をきめるかのように、サーチェを勢いよくひねる。
 それと共に、骨が鳴る音がする。



:「エッ!?」



 透の思考は現状を理解するために、数秒停止する。


バレル
:「Finish !」



 バレルは格闘技を見ているかのように興奮する。


メイリン
:「Goo!」



 メイリンは満面の笑みで親指を立て、手を突き出す。


一馬
:「決まったな」


玲音
:「決まりましたね」



 一馬と玲音は落ち着いた様子で、声が重なって聞こえる。


奈々
:「そこの4人反応おかしい!」



 奈々は勢いよく、四人分ツッコミを入れる。



:「サーチェさん、大丈夫ですか!」



 現状を理解した透はサーチェに駆け寄る。



:「大丈夫だって、気絶してるだけだし」



 サーチェのことは気にもしてないかのように、投げやり答える。



:「けどさっき、ゴキって骨が!鳴りましたよね!」



 透は鈴に問いかける。



:「大丈夫、大丈夫。ただづれてた骨を元に戻しただけだから」



:「けど、あの音は!」


一馬
:「心配すんな、そう言うテクニックだ」



 一馬は透の肩に手を置き、透を落ち着かせる。



:「まぁ、しばらくは起きないでしょ」



:「信じていいんですね」


玲音
:「大丈夫、体験した本人が言うんだから」



 玲音は空いていた透のもう一つの肩に手を置き、透は落ち着く。


バレル
:「End? 《終わり?》」


メイリン
:「もう終わり〜?」



 メイリンはダダおこねる子供のように、文句をたらす。


奈々
:「そこ!文句言わない!」



 奈々は勢いよくバレルとメイリンがいる方向に指を差す。


玲音
:「でわ、あらためて・・・・・・」



 玲音は姿勢を正し、鈴の方を向く


玲音
:「何をしに来たんですか?」



:「本部に召集よ」


玲音
:「この地域の最高責任者が、わざわざ伝えに来る意味は?」



:「カズとレイに合いたかったからに決まってるでしょ♪」


一馬/玲音
:「・・・・・・・・・(スルー)」



 一馬と玲音は何も聞いてなかったかのように、受け流す。


一馬
:「それで、今から行けばいいんだよな?」



:「僕たちもですか?」



 いまだサーチェから離れない、透が質問する。



:「もちろん、全員に決まってるって」


一馬
:「それじゃあ、さっそく移動するか」