作者:天地・白夜


      西暦2019年
    11月4日月曜日
    AM 6:30


       町が赤く染まる頃・・・

   [少年A] :「チックショ〜!」

          騒がしく自転車をこぐ男子生徒が一人。

   [少年A] :「またやられた・・・・・・。鈴ねぇ、今度はアラームの時間ずらしやがった!」

          携帯電話の着信メロディーがズボンから聞こえ てくる。
          少年は自転車を一旦止めると携帯電話を取り、電話に出る。

   [女性A] :『オッハ〜! カズ! 元気してる?』

    [一馬] :「ハァ〜、おはよう鈴ねぇ」
          (またか〜)

     [鈴] :『どうしたのカズ、元気ないね? やっぱり昨日の疲れが残ってる?』
          
    [一馬] :「少しね。それよりも! 鈴ねぇが寝かしてくれなかったから、ものすごく辛いんですけど!
          あと! アラームの時間ずらしただろ!」

     [鈴] :『疲れていると思ってずらした! まず、5時にアラーム設定っておかしいでしょ』

   [一馬] :「その時間に起きないと学校に間に合わないだ!」

    [鈴] :『っえ! なんで!』

   [一馬] :「いつも鈴ねぇが電話を掛けてきて遅刻の原因を作るんだろうが・・・・・・」

    [鈴] :『そんなのした覚えないけど?』

   [一馬] :「なら、何で掛けてきた?」

    [鈴] :『いつものお願い!』

   [一馬] :「ハァ〜〜」
         (飯ぐらい自分でどうにかしろよ)

    [鈴] :『あと、ついでに・・・・・・・・・』

   [一馬] :「・・・・・・・・・わかった。てか! そっちがついでかよ」

    [鈴] :『それじゃあ、大学で待ってるから!バア〜イ』

         鈴が電話を切ったあと、一馬は携帯電話をズボンのポケットにしまった。

   [一馬] :(鈴ねぇの大学って反対側だったよな)

         「これで200回目か・・・・・・ハァ〜」

        11月4日
         AM 8:20
         城山中学 3年2組 教室

 [男子生徒A] :「おい、また出たらしいぜ」

 [男子生徒B] :「昨日の強盗だろ。俺その時に偶然現場にいたんだけど」

 [男子生徒A] :「見たのか!」

           言い終わる前に男子生徒Aが割り込んでくる

 [男子生徒B] :「バッチリ! と言いたいところだが、夜だったからわからなかった」

 [男子生徒A] :「けど見れたんだかろ、いいよな〜」

 [女子生徒A] :「そんな事でうらやましがってるの?」

          すぐそばにいた女子生徒が話しに割り込んでくる。

 [男子生徒B] :「な、なんだよ、いきなり」

          女子生徒Aが携帯の液晶画面を男子生徒たちに差し出す。

 [男子生徒A] :「お、おいこれって写真じゃん!」

 [男子生徒B] :「お前どこで手に入れたんだよ!」

 [女子生徒A] :「前に助けてもらったときに撮った。いいでしょ〜」

 [男子生徒B] :「助けてもらったって、なにやってんだよお前は・・・」

 [女子生徒A] :「そんなことは気にしない、気にしない」

           女子生徒Aがごまかすように言う。

           会話に割り込むように教室にチャイムの音が鳴り響く。

  [担任・男] :「は〜い静かに〜」

           3年2組の担任がいかにもやる気がないように入ってくる。

  [担任・男] :「え〜っと、欠席はゼロだな」

 [女子生徒B] :「荒木くんがまだ来てませんけど」

  [担任・男] :「どうせまた遅刻だろうに。そんなことより、ホームルームを始めるぞ。
           え〜っと、ついさっき放火があったらしい、詳しいことは知らん」

 [男子生徒C] :「そんな無責任な。それで大丈夫だったんですか」

  [担任・男] :「死人はゼロ、被害はたしか〜、2、3件燃えたぐらいだったと思うぞ」

 [女子生徒A] :「それってやっぱり! 出たんですか?」

  [担任・男] :「でたんじゃないの、死人もゼロだったことだし」

 [女子生徒C] :「あんたって本当に好きだよね」

 [女子生徒A] :「いいじゃん! 好きなんだから!」

 [女子生徒C] :「開き直ってるし・・・・・・」

           その時、教室の前の引き戸が勢いよく開く

    [一馬] :「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・間に合わなかった」

           今まさに持久走を終えたような顔をした一馬が教室に入ってきた。

 [男子生徒D] :「おめでとう! 200回記念だ!」

  [担任・男] :「・・・・・・まぁ、すわれ」

           一馬はため息をしつつ席に着く。

  [担任・男] :「それじゃあ、終わるぞ〜。起立、礼、着席」

           挨拶が終わると、面倒くさいそうに教室を出て行く3年2組の担任

           担任が出て行った後、教室がざわつき始める

 [男子生徒D] :「おはよ〜、一馬!」

           一人の男子生徒が一馬の席えと向かう。

    [一馬] :「おはよう・・・・・・ヤス」

    [ヤス] :「なんだ〜、今日は一段と疲れてるな。せっかくの200回記念なのによ」

    [一馬] :「それを言わないでくれ」

    [ヤス] :「はい、はい」

          ヤスはかくるく返事をする。

    [ヤス] :「それより、放火があったらしいぜ。死人はゼロだったけどな
          やっぱりあれも出たらしいな」

          ヤスは体を窓のほうに向けて外を見る。

    [一馬] :「俺たちには関係のないことだろ」

          それだけ言うと一馬は顔を机に伏せる。

    [ヤス] :「いったい何だろうな、「キャリデオ」て・・・・・・」

          
          外を見ていたヤスが一馬の方に向く。

    [一馬] :「・・・・・・」

          ヤスが一馬の顔を覗き込む。

    [ヤス] :「・・・・・・って!寝てるし!」

         11月4日
         PM 6:00
         名大学・鈴の実験室

     [鈴] :「いや〜、わるいね〜レイ。こんなのにつき合わせちゃって」

          鈴は飲み物の入ったコップを片手で差し出す。

    [玲音] :「どうせいつものことですから」

          すぐそばにあったテーブルの席に座っていた玲音は差し出されたコップを受け取る。

    [一馬] :「てつだってる俺には何もなしかよ・・・・・・」

          おくで道具の整理をしていた一馬がつぶやく。

     [鈴] :「なにかいた〜?」

          笑顔で尋ねる。

    [一馬] :「なにも!」

     [鈴] :「カ〜ズ〜、そこの何か入ってるビーカー持ってきて〜」

          一番前のテーブルでうつ伏せになっている鈴が言う。

    [一馬] :「何かって何だよ。あと、自分の仕事だろ鈴ねぇも少しは動けよ」

          笑顔で鈴が一馬の方を向くと。

     [鈴] :「めんどい♪」

          悪意のない子供のような笑顔をする。

    [一馬] :「すごい万遍な笑顔。って! またビール飲んでるし!」

     [鈴] :「いいじゃん減るもんじゃないし」

    [一馬] :「減るもんじゃないって、え! うぁ!」

          ビーカーを運んでいた一馬が何かに足を取られる。

    [一馬] :「うぁあああ〜!」

          そのまま一馬が床に倒れる。

    [一馬] :「いってぇ〜。これ鈴ねぇのだろ! ビールのビンは飲んだら捨てろよな。
          その前に実験室で飲むな!」

          一馬は立ち上がり、腰まである玲音の髪がぬれているのに気がつく。

    [一馬] :「大丈夫か玲音? 髪ぬれてるけど」

          心配になった一馬が玲音の顔を覗き込と、玲音の頬が赤く染まっているのに気がつく。

    [一馬] :「おい! 大丈夫か!」

          一馬が玲音を少し揺さぶる。

    [玲音] :「ぼ〜〜〜」

          一馬がすぐ側にあったコップに気がつく。

    [一馬] :「酔ってるし! 鈴ねぇ何飲ませてるんだよ!」

     [鈴] :「ごめん、気がつかなかった♪」

    [一馬] :「反省してないだろ」

     [鈴] :「それよりも、早くしたほうがいいぞ。それ肌あれっるぞ」

         一馬が今の玲音の状態に気がつく。

    [一馬] :「って! どうするんだよ!」

          急に混乱し始める一馬。

     [鈴] :「それじゃあ、レイちゃんをシャワールームに連れて行くから。一馬は帰っていいよ。
          それても覗いてく?」

    [一馬] :「覗くって!」

          一馬が唖然とする。

     [鈴] :「いいじゃん! どうせ初めてじゃないんだし。それじゃあ私は行くから」

          鈴が行き、何事も無かったかのように静まり返る実験室。

    [一馬] :「・・・・・・帰ろう」

          11月5日
          AM 6:45
          校門前

    [一馬] :「・・・・・・。あれ? 今日は呼び出されなかったな。
          そのおかげで遅刻はしなかったけど」
          (それにしても・・・・・・)

          「誰もいね〜」

          PM 9:40 1時限目
          城山中学 3年2組 教室

    [一馬] :「けっきょく何もなかったな〜」
          (あったとしたら、先生が1ヶ月分の出席表を書き直すことになったぐらいだけど
           なんだよ1ヶ月分って、確かに遅刻は続いてるけどよ)

          「何かあるよな・・・・・・」

          教室にチャイムの音が鳴り響く。

    [ヤス] :「お〜い一馬、移動教室だぞ」

    [一馬] :「お、おう! すぐ行く」

          準備を終えて教室を出る一馬。

    [男A] :「ちょっと! そこの君」

    [一馬] :「はい?」

          約190cmの長髪で白い髪の約30代の男が一馬を呼び止める。

    [男A] :「呼び止めてすまないね、職委員室は何処か教えてくれないか」

    [一馬] :「そこの階段を上がってすぐですよ」
          (なんだこの男は? 学校の関係者でも、保護者でもなさそうだ)

    [男A] :「そうか・・・・・・、たすかった」

    [一馬] :(なんだあいつの笑みは? この男以外にはボディーガードらしき男が2人、
          1人はあの男と一緒に上に行ったか。もう1人は玄関前でうろうろしてるな。
          外にワゴンが1、2・・・・・・5台か。とにかく通信を・・・・・・、繋がらない!
          絶対に何かある!)

          「ヤスも行ったようだし」
           (学校の外に出るか)

          AM 10:12
          学校の外

    [一馬] :「意外と簡単に出れたな」

          その時、校舎から破裂音が響いた。

    [一馬] :「銃声!」

          AM 10:30
          校舎前グラウンド

    [ヤス] :(何だよこの武装集団は、何となくキャリデオに似てる気がするけど)

 [男子生徒A] :「何なんだよいきなり」

 [男子生徒B] :「俺に聞くなよ」

 [武装集団・男A] :「全校生徒ならびに、教師全員のグラウンドえの集合終わりました」

 [武装集団・男B] :「そうか、後は待つだけだな」

    [ヤス] :(待つって・・・・・・、いったい何を待ってるんだ?)

         ヤスの隣にたっていた武装集団の一人が音も無く倒れる。

    [ヤス] :「っな!」

 [武装集団・男C] :「スナイパーか!」

             次々と武装集団の男達が倒れていく。

 [武装集団・男B] :「体育館の上だ!」

             男が気づいたときにはすでに何人かが体育館から飛び降りていたときだった。

 [スナイパー・女A] :「これで最後」

             最後まで立っていた武装集団の一人がひざまずく。

 [武装集団・男D] :「さすがはキャリデオ、ってか・・・・・・」

             キャリデオが全校生徒と教師達に近づいてゆく。

             その時、グラウンドに一発の銃声が響き渡った。

        [男A] :「そこまでだ、キャリデオ」

            中央玄関から武装集団と同じ武装をした長髪の男が出てきた。

        [男A] :「甘く見すぎたな、キャリデオ!」

            その言葉と同時に倒れていた武装集団の男達が立ち上がり始めた。

 [キャリデオ・男A] :「ック!」

        [男A] :「はじめまして。そして、これからよろしくと行こうじゃないか。キャリデオ諸君」

             男はそう言いながら全校生徒が入る場所えと近づいて行く。

 [キャリデオ・男A] :「目的は何だ」
              (長髪からしてあの怪しい男か)

        [男A] :「目的・・・・・・か、嫌でもそのうちにわかるだろう。
             それよりもゲームをやらないか?」

 [キャリデオ・男A] :「いったい何を?」

 [キャリデオ・男B] :「今なら動けるぞ、どうする?」

              男Aの隣にいた男Bが男Aに尋ねる。

 [スナイパー・女A] :『こっちも行けるよ』

              頭部プロテクターの通信機から声が聞こえてくる。

 [キャリデオ・男A] :「いや、まだあいつらが何なのかが分からないうちに動かない方がいいだろう
              それに向こうには人質がいる」

 [キャリデオ・女A] :「ならどうするんですか?」

 [キャリデオ・男A] :「その話、聞いてやろうじゃないか!」

        [男A] :「そうこなくてわな」

 [キャリデオ・男A] :「それで、何を企んでいる?」

        [男A] :「簡単なゲームだ。こいつらが逃げる」

             男は全校生徒と教師に視線を送る。

        [男A] :「そして、俺たちがそれを狩る」

 [キャリデオ・男A] :そう来たか・・・・・・

        [男A] :「オレ達が狩りに出たと同時にお前達が助けに出れる。簡単なゲームだろ?」

 [キャリデオ・男A] :「簡単過ぎて怖いぐらいだな・・・・・・」

        [男A] :「20秒だ! 20秒後にゲーム開始だ。その間に、諸君! 逃げるがいい」

             男が空高く左手を上げた瞬間、銃声がグラウンドに響き渡った。

             砂埃がたち、一部パニックを起こした全校生徒や教師達が逃げ惑い。
             もう一部は、取り残されていた。

 [キャリデオ・男C] :『どうする、このままじゃ』

 [スナイパー・女A] :『こっちは、人が邪魔で狙えない』

              通信機からスナイパーの声が聞こえてくる。

 [キャリデオ・男A] :「とにかく待つんだ」

 [キャリデオ・女A] :「わかりました」

 [キャリデオ・男B] :「OK!」

 [キャリデオ・男A] :「構えろ、そろそろだぞ」

        [男A] :「時間だな・・・・・・」

             その瞬間キャリデオ・男Aは男Aに突進していた。

             それと同時に武装集団とキャリデオ達も衝突する。

        [男A] :「そうだ! それでいい!」

              男はまるで待ちかねていたような笑みを浮かべる。

 [キャリデオ・男A] :「ハァアア!」

              二人のブレードが火花を散らす。

        [男A] :「ッフ」

              男が馬鹿にしたような笑いをする。

 [キャリデオ・男A] :「ック!」

              キャリデオが距離をとる。それと同時、左手でに腰についていたハンドガンを引き抜く。
              そして、男の頭目掛けて撃つ。

        [男A] :「・・・・・・」

              男が軽く頭をずらして、弾を避ける。

              その刹那、キャリデオはブレードを右手で後ろに構え、低い体勢で男に突進していた。

 [キャリデオ・男A] :(ここだ!)

              キャリデオがブレードで下から男目掛けて切り上げる。

        [男A] :「甘いな・・・・・・」

              男はブレードを左腕のアームガードで軽く防いでいた。

 [キャリデオ・男A] :「ッチ!」
              このブレードで切れないなんてな・・・・・・

              キャリデオが男にブレードを持っていた右腕をつかまれる。

        [男A] :「今度はこちらから行くぞ」

              男がキャリデオを引き寄せ懐に入ると、キャリデオの腹にマグナムを突きつける。

        [男A] :「耐えろ」

              男は言い終わるとキャリデオの右腕を離しマグナムの弾が切れるまで連射した。

              全弾あたったキャリデオは後ずさりし、倒れてゆく。

        [男A] :「強力な防弾をしていても流石にきついか? ・・・・・・うん?ほ〜」

              キャリデオは倒れきる前に自分の二本足で踏ん張っていた。

        [男A] :「それでこそ、キャリデオだ。どうだ? マグナムをゼロ距離で食らった気分は?」

 [キャリデオ・男A] :「正直きついが、なんとも無いな」

        [男A] :「おもしろい・・・・・・」

 [キャリデオ・男A] :「お前は何なんだ?」

        [男A] :「そうだな、レイヴンとだけ名乗っておこう」

 [キャリデオ・男A] :「レイヴン・・・・・・」

     [レイヴン] :「そろそろ時間だな、オレ達はこれで撤収するとしよう」

              上空から小型の飛行物体がレイヴンの目に前まで降りてくる。

     [レイヴン] :「まだ始まったばかりだ、また会おう」


              それだけを言うとレイヴンは飛行物体に乗り上空えと消えた。

              それに続くように、他の武装集団の男達も同じように上空えと消えた。

 [キャリデオ・男A] :「これでひとまずは安心か」

              グラウンドは何も無かったかのように静まり返っていた。

 [キャリデオ・男A] :「聞いていたか?」

              キャリデオは何処かと通信をする。

 [キャリデオ・少女A] :『デートの約束をですか?』

                通信機から落ち着いた、少女の声が聞こえてくる。

 [キャリデオ・男A] :「お前な〜」

 [キャリデオ・少女A] :『いいですよ、私は軽蔑しませんから』

 [キャリデオ・男A] :「だから! まぁ、いいや。下りて来いよ」

 [キャリデオ・少女A] :『分かりました、認めたと言うことで』

 [キャリデオ・男A] :「もういいから、下りて来いって・・・・・・」

              その数秒後に輸送ヘリがグラウンドの上空に現れると、
              そのままグラウンドに着陸する。

              着陸した輸送ヘリのハッチが開き短髪で約160cmぐらいの少女が出てくる。

 [キャリデオ・男A] :「来たか」

              少女が輸送ヘリから降り、キャリデオ・男Aに近づいて行く。

 [キャリデオ・少女A] :「被害は無いみたいですね」

 [キャリデオ・男A] :「・・・・・・」

              キャリデオ・男Aは不思議なものを見るように、少女を見る。

 [キャリデオ・少女A] :「なんですか? その目は」

 [キャリデオ・男A] :「・・・・・・髪、切った?」

 [キャリデオ・少女A] :「ええ〜もう、バッサリと。だ・れ・か・さんのおかげで」

               少女は横目でキャリデオ・男Aを軽く睨む。

 [キャリデオ・男A] :「あは、は、は〜」
              あっちゃ〜、昨日のあれか。

 [キャリデオ・少女A] :「まぁ、いいんですけど」

 [キャリデオ・男A] :「けど、短いのも似合っているぞ」

 [キャリデオ・少女A] :「一応、ありがとう、と言っておきます」

            少女の頬が少し赤くなり、そっぽを向く。

 [キャリデオ・少女A] :「そんなことより、指揮を執ってください」

 [キャリデオ・男A] :「何で、オレが!?」

 [キャリデオ・少女A] :「なぜって? 今一番クラスが高いのはあなたしかいないからですよ」

 [キャリデオ・男A] :「はい、はい。わかった、やるよ」

 [キャリデオ・少女A] :「意外にアッサリしてますね」

 [キャリデオ・男A] :「指揮を執るやつがしっかりしないといけないだろ、こう言う場合は」

 [キャリデオ・少女A] :「指示される側がこんな状態じゃほとんど意味ないと思いますけど」

                少女が全校生徒えと視線を送る。

 [キャリデオ・男A] :「確かにな・・・・・・」

              そこには全校生徒と教師が集められていた。
              そのほとんどが混乱を隠し切れずにいた。

 [キャリデオ・少女A] :「どうする?」

 [キャリデオ・男A] :「仕方がないか。全員フェイスカバーを外せ」

 [キャリデオ・男B] :「OK!」

 [キャリデオ・女B] :「わかりました」

 [キャリデオ・少女A] :「考えましたね」

               キャリデオ達は次々と頭部プロテクターのフェイスカバーをスライドさせ、
               頭部プロテクターの中に仕舞って行く。

    [生徒・教師] :「っえ!」

              全校生徒と教師がキャリデオ達の顔を見て驚く。

   [男子生徒E] :「あいつって、いつもゲーセンにいる奴じゃ!?」

    [教師・女A] :「中山先生?」

   [女子生徒C] :「お兄ちゃん!?」

   [女子生徒B] :「あれってコンビにの店員・・・・・・だよね?」

              最後にキャリデオ・男Aと少女がフェイスカバーを外す。

       [ヤス] :「うそだろ?」

   [男子生徒A] :「おいあれって!」

   [女子生徒B] :「けど、なんで?」

       [ヤス] :「カズマなのか?」

       [玲音] :「けどよかったんですか、一馬だけでも顔を隠せばよかったのでは?」

       [一馬] :「指揮する奴が顔を隠していたら意味ないだろ。それに−−」

       [玲音] :「−−この先に何が起こるかわからないですしね」

       [一馬] :「さてと、一息ついたところで始めるか」

       [玲音] :「えー」

       [一馬] :「お前な・・・・・・」

       [玲音] :「なにか?」

       [一馬] :「まぁ、いい。今の状況を整理しよう」

       [玲音] :「テロですね」

             まるで自分には関係のないような言い方をする。

       [一馬] :「簡単に言うなよ」

       [玲音] :「下手したら戦争ですね」

       [一馬] :「そうならないように何とかするんだろ」

       [玲音] :「無理でしょうね」

             どうでもいい事のように、無表情で答える。

       [一馬] :「不安になることを言うなよ」

             玲音の返事に対し困ってしまう。

       [玲音] :「それはいいとして、ここをまとめてください」

       [一馬] :「もお、いいよ」

             一馬は力が抜けた返事をすると、全校生徒と教師の前に出る。

       [一馬] :「え〜と、そうだな。まずは自己紹介からか?
              いや、1年以外ならだいたい知ってるか。一応しておくか」

             一馬が全校生徒と教師に話しかける。

       [一馬] :「俺は荒木・一馬だ一応よろしく。ついでに「何で?」と言う質問は無しだ。
              皆、混乱してると思うが、今は何とかして落ち着いてくれ。
              これからいくつか指示をだす。静かに聴いてくれると有り難い」

              一馬は全校生徒と教師が落ち着くのお待つ。

       [一馬] :(よし、落ち着いたな。)
             「まず最初に、俺達キャリデオ信じてほしい。
              2つ目に、しばらくの間はここにいる人以外とは連絡を取らないでほしい。
              混乱を避けるためだ、絶対に守ってほしい。
              3つ目に、安全が確認できるまで校舎から出ないでほしい。
              最後だ。何が何でも絶対に生きてくれ。以上、解散!」

              一馬はそれだけを言うと輸送ヘリえと歩いてゆく。

       [ヤス] :「カズマ・・・・・・」

            AM 11:15
            キャリデオ輸送ヘリの中

       [玲音] :「最後にあんな事を言っては逆効果じゃ?」

       [一馬] :「あんなことでも言わないと緊張感を保てないだろ」

       [玲音] :「けど緊張感だけではいずれ人は潰れてしまいまう」

       [一馬] :「そのための俺達だろ」
              (けど、流石に今回は守りきれるかどうか・・・・・・)

       [玲音] :「守る側が、くちではカッコいい事を言っていても、そんな不安なことを
             考えていては意味ないですよ」

       [一馬] :「・・・・・・」
             (人の頭の中を読むなよな)

             一馬は今にも文句が言いそうな顔をする。

       [玲音] :「えー、読めるんだから良いじゃないですか」

             玲音はどうでもよさそうに答える。

       [一馬] :「今、いや、かなり前から思ってたんだけどこれってメリットはあるけど、
             日常的なところでデメリット多いよね?」

       [玲音] :「どこがですか?」

       [一馬] :「どこがって? これにはプライバシーがないだろーが!」

       [玲音] :「プライバシー? そんなのカズマにあったんですか?」

             当たり前に無いかのように、一馬に尋ねる。

       [一馬] :「お前な〜」

       [玲音] :「まず、プライバシーなどと言ってしまえば、私の人生もカズマに24時間365日
             死ぬまで筒抜けですよ。どんなけ最強なストーカーですか? カズマはやはり
             世界一の変態だったんですね」

             玲音は早口で舌を噛むことなく、ほとんど表情を変えず、カズマに言って聞かせた。

       [一馬] :「俺にはそんな趣味はない!」

       [玲音] :「女性に興味はないと。やはり男性のほうが好きなんですね!」

             玲音はまたほとんど表情を変えず答える。

       [一馬] :「当たり前に女の方が好きに決まってるだろうが!」

       [玲音] :「えー」

       [一馬] :「お前はいったい俺に何を求めてるんだ・・・・・・」

       [玲音] :「日常の刺激」

       [一馬] :「ナゼ!」

       [玲音] :「そんなことはどうでもいいんで、通信が入ってますよ」

             玲音の言葉で赤いランプが点滅している通信機に気がつく。

       [一馬] :「しまった! 忘れてた」

       [玲音] :「こんな、通信機のことを忘れるような人が指揮してるなんて、
             遺書でも書いておいたほうがいいでしょうか」

       [一馬] :(誰のせいだと思って)

       [玲音] :「私は無実ですよ?」

       [一馬] :「はいはい」

             一馬は軽く受け流すと、通信機のボタンを押し、小型のスクリーンに女性の顔が映る。

       [女?] :『カ〜ズマ、ぶつ!』

             一馬が即座に通信を切る。

       [一馬] :「こんな時に・・・・・・」

             玲音は一馬のことは一切気にせず、再び通信を繋げる。

       [女?] :『なに? 反抗期に入ったとか?』

       [玲音] :「いえ、それは無いと思います。まず、その度胸が無いでしょう」

       [一馬] :「それはいいとして−−」

       [玲音] :「−−認めましたね」

       [一馬] :「それで鈴ねぇ状況は?」

       [玲音] :「綺麗に無視されましたね(わたし)」

        [鈴] :『状況はちょっときついね、いくつかの支部がやられちゃってね〜』

             鈴は軽い口調で答えた。

       [一馬] :(軽く言うことかよ・・・・・・)

             「それで、他の学校に被害とかは?」

        [鈴] :『今のところはカズマの学校をふくめて3校が被害を会けてる。
             3校とも怪我人は出なかったみたいだけど』

       [一馬] :「他に被害は?」

        [鈴] :『今のところは無いけど』

       [玲音] :「やっぱり私達を狙ってきてるのでは?」

        [鈴] :『可能性は否定できないね、実際に支部が襲われてることだし』

       [一馬] :「わからないのは、何で学校が襲われたのかだな」

       [玲音] :「もし私達が目的だとしたら、学校が一番効率がいいからでは?」

        [鈴] :『効率がいい?』

       [玲音] :「都会のど真ん中で起こすパニックよりも、学校で起こす起こす
              パニックの方が被害は少ないと言うことです」

        [鈴] :『破壊が目的ではない?』

       [玲音] :「目的は−−」

       [一馬] :「−−俺たちの力をはかること」

        [鈴] :『宣戦布告ってことね』

             鈴の顔に笑みが浮かぶ。

       [一馬] :「鈴ねぇ、状況分かってる?」

        [鈴] :『わかってるからこそだよ』

       [玲音] :「珍しくやる気を出しましたね(主に危険な意味で」

       [一馬] :(閉じるの忘れてるぞ)

       [玲音] :「細かい男は嫌われますよ」

        [鈴] :『大丈夫! 私がいるから♪』

       [玲音] :「仕方ないですね、私も付き合ってあげますよ」
             (これで、家事、炊事、洗濯が不必要に)

       [一馬] :「元からほとんどやってないだろうが」

       [玲音] :「何言ってるんですか? しっかりやってるじゃないですか(主にちょっかいを」

       [一馬] :「邪魔してるだけだろ! あと、また忘れてるぞ」

       [玲音] :「邪魔してるのでは無くて、癒してあげてるんですよ。
             あと、私はカッコヒラク、カッコトジとか言うキャラは嫌なんで、カッコだけキャラで」

       [一馬] :「なんだよキャラって・・・・・・」

        [鈴] :『ま〜、私が一番手伝ってるんだけどね』

       [一馬] :「どこがだよ、仕事を増やしてるだけだろ。」

        [鈴] :『家は私のだから、OK!』

       [一馬] :「そう言う問題じゃないだろう」

        [鈴] :『あっ! 忘れてた。伝言があったんだった』

       [一馬] :(無視かよ・・・・・・)

       [玲音] :「それで、伝言とは?」

        [鈴] :『13時00分頃に桜学園で会おうってさ』

       [一馬] :「誰からだよ」

        [鈴] :『レイヴン』

       [一馬] :「・・・・・・」

             その瞬間、時間が止まったかのように静まる。

       [一馬] :「レイヴン?!」

       [玲音] :「やはりそんな趣味が−−」

       [一馬] :「−−ねぇえよ!」

        [鈴] :『教育を一からやり直さないといけないみたいね』

             鈴は大好物の獲物を見るような目で一馬を見る。

       [一馬] :「必要ないです!」

        [鈴] :『そんなことはさておき』

       [一馬] :(はじめたのお前だろうが)

        [鈴] :『何か?』

             無表情で一馬に尋ねる

       [一馬] :「・・・・・・なにも」

       [玲音] :「それで、これからどうするんですか」

             何も無かったかのように振舞う玲音。

       [一馬] :「行くしかないだろ」

       [玲音] :「ですね」

       [一馬] :「鈴ねぇ、桜学園の状況は?」

        [鈴] :『すでに手配済み、生徒とかの避難はちょっと遅れてるけど』

       [玲音] :「避難は何処に?」

        [鈴] :『あそこ校内が広いからね、一番安全な場所に移動しといたけど』

       [一馬] :「時間も少ないことだし、今からすぐに行くか」

        [鈴] :『それじゃあ、私は自分の仕事をやるから、がんばってね〜。
             バア〜イ』

             鈴との通信が切れる。

       [一馬] :「操縦席、聞こえるか?」

              一馬が輸送ヘリの操縦席と通信をする。

  [操縦者・女A] :『はい?』

             気の抜けた返事をする。

       [一馬] :「桜学園に向かってくれるか?」

  [操縦者・男A] :『Roger!』

             米軍のように答える。

             一馬は通信を切り、玲音のほうに振り返ると。

       [一馬] :「最近思ったんだが、組織に所属する人のキャラが可笑しくなってないか?」

       [玲音] :「カズマが言える立場ですか?」

       [一馬] :「否定はしないでおくよ」

             キャリデオの輸送ヘリが空に上がり移動を始める。

             一定の速度に達すると、輸送ヘリは翼を広げプロペラを畳み、高速移動モードえと移行する。

             AM 12:10分
             キャリデオ輸送ヘリの中

       [一馬] :「そろそろか」

       [玲音] :「しかし、なぜこの場所なんでしょうね?」

             さっきまで何処かと通信をしていた玲音が一馬に尋ねる。

       [一馬] :「さーな」

       [玲音] :「あと、下ではもう準備が終わってるらしいですよ」

       [一馬] :「しかし、相変わらず、鈴ねぇは手廻しが早いよ」

       [玲音] :「とりえの1つですから」

       [一馬] :「今日だって俺が学校の外に出た時には、すでに準備が終わってたからな。
             何であそこまで早く動けてたんだ? 俺は何も連絡してなかったはずだぞ」

       [玲音] :「今朝の4:30分頃、空に反応があったから」

       [一馬] :「反応? 何だったんだ?」

       [玲音] :「わからない」

       [一馬] :「わからないって、どう言うことだ?」

       [玲音] :「光電センサーに反応はあったんですけど、
             空に何か大きな物体が浮いていることしか分からなかった、と言うことです」

       [一馬] :「厄介な奴らが出てきたもんだな・・・・・」

             目を閉じて考え込む一馬。

       [玲音] :「ついたみたいですよ」

             それと同時にハッチが開く。

       [一馬] :「わかった、今行く」

             AM 12:15分
             桜学園グランウド

       [玲音] :「結構広いですね」

       [一馬] :「学園って言うぐらいだからな」

       [玲音] :「たしか装甲車のがある場所に行けばいいですよね?」

       [一馬] :「どれのだよ・・・・・・」

             一馬が見渡したグラウンドには多数の輸送ヘリと装甲車がバラバラに止まっていた。 

       [玲音] :「たしか専属のサポーターが入るはずです」

       [一馬] :「適当に当ってみるか」

             二人は一番近い装甲車え向かって歩き始める。

      [少女A] :「オ〜〜イ!」

       [一馬] :「何か聞こえたか?」

       [玲音] :「確かに」

             二人は歩くのをやめて声がしてきた方に振り向く。

      [少女A] :「オ〜〜イ!こっちだって!」

             一人の少女が一馬達のほうに向かって走っていた。

       [一馬] :「あれって−−」

       [玲音] :「−−メイリンですね」

             その時、遠くで地面に何かが激突する音がした。

       [一馬] :「またやりやがった」

       [玲音] :「ズバリ、こけましたね」

             頭を押さえながら立ち上がったメイリンは再び走り出す。

     [メイリン] :「一馬、玲音、2人はこっちだって」

             何事も無かったかのように振舞うメイリン。

       [一馬] :「すこしは運動した方がいいぞ」

     [メイリン] :「よっけいなお世話です!」

       [玲音] :「それでナゼ、ここに?」

     [メイリン] :「あっ! そうだった! 二人はこっちだから」

       [玲音] :「わざわざありがとう」

   [一馬・玲音] :「それでナゼ、メイリンがいるんだ?」

     [メイリン] :「ムッカ! 私が理由なしでいてはいけないんですか!」

       [一馬] :「な、なんだよいきなり」

     [メイリン] :「もう! いいです!」

             一人で目的の場所えと先行する。

       [玲音] :「いつものことです」

       [一馬] :「確かにそうだけど・・・・・・」

             メイリンの後について行く二人。

     [メイリン] :「なんだってのよもう! 私がいたらだめなわけ? だいたい、いつもいつも・・・・・・・・・」

             ぎりぎり聞こえるか聞こえないか程度の声で愚痴を言っていると。

       [一馬] :「オイ! メイリン!」

     [メイリン] :「なによ!」

             メイリンは振り向かずにそのまま装甲車えと、ヘッドバットをしてしまう。

       [一馬] :「まえ・・・・・・」

             時すでに遅し。メイリンはグラウンドに倒れていた

       [玲音] :「メイリン、グラウンドに散る。」

     [メイリン] :「散ってたまるか〜!」

             メイリンが行きよいよく立ち上がる。

       [一馬] :「立った」

     [メイリン] :「う〜〜」

             頭を押さえてちじこまってしまう、メイリン。

       [玲音] :「大丈夫ですか?」

       [一馬] :「しっかり前を見ろよな」

     [メイリン] :「もう、ほっといてください・・・・・・」

             メイリンはうつむいてしまう。

       [一馬] :「それで、研究委員のお前がなぜこんなところに?」

     [メイリン] :「スー、ハァー」

             メイリンは立ち上がり、深呼吸をして気を取り直す。

     [メイリン] :「新装備を持ってきました、その説明です」

       [玲音] :「わざわざメイリンが出てくることはないのでは?」

     [メイリン] :「ちょっと特殊な装備があるから」

       [一馬] :「特殊な装備?」

     [メイリン] :「1つは前カズマがテストしてくれたブレード」

       [一馬] :「あれか?」

     [メイリン] :「もう1つは高速戦闘用装備」

       [一馬] :「そんなのがあったのか?」

     [メイリン] :「不完全だけど・・・・・・」

             横目になりながら答えるメイリン。

       [玲音] :「お葬式はどこがいいですか?」

     [メイリン] :「大丈夫! カズマならOK!」

       [一馬] :「何を根拠に!」

     [メイリン] :「あと、これは先輩《鈴》の命令だから!」

       [一馬] :「鈴ねぇのかよ・・・・・・」

             頭を抱える一馬。

       [玲音] :「そんなことはいいので、説明をしてください」

     [メイリン] :「まずはブレード!」

             その声とともに装甲車から長方形の小型のコンテナが出てくる。

     [メイリン] :「オープン!」

             コンテナが開く。中には重々しく光り輝くブレードが入っていた。

     [メイリン] :「Ultra Compressed Carbon ・ Blade Gun - 00。略して!
             UCC・ブレードG−Proto!」

       [玲音] :「始まった・・・・・・」

     [メイリン] :「このブレードの魅力は、その切れ味!
             CC・ブレードもすごかったけど、UCC・ブレードには敵わない!
             何でもかんでもバターのように切れるこの罪深さ!
             ビジュアルも、機械的なゴツゴツさとブレードの滑らかさ、これぞグ〜!
             さらに、さらにーー」

             アドレナリンが頂点に達したかのような勢いで、つまることなく語り続けるメイリン。

       [玲音] :「時間もおしてるんで、そろそろいいですか?」

             メイリンが語り続ける中に割り込む玲音。

     [メイリン] :「・・・・・・」

             みるみると顔が赤くなるメイリン。

       [一馬] :「これ、やっぱり大きさに似合わず軽いよな」

             一馬はメイリンをまったく気にせず、ブレードを右腕に装着していた。

     [メイリン] :「それは当たり前ですよ、軽さと、切れ味を重視したんですから!」

             いつの間にか元に戻っていたメイリンが、誇らしげに答える。

     [メイリン] :「いま装着してる状態の手の方にグリップ《握把》があるでしょ?」

       [一馬] :「いま握ってる」

     [メイリン] :「それを強く握って、それからすばやく二回ひねって」

       [一馬] :「こうか?」

             一馬がバイクのスロットルグリップをひねるかのようにブレードのグリップをひねる。
             その瞬間、数秒の誤差もなくブレードがよこに半円を描きながらしまってゆく。
             もともとブレードがあったところには、銃口らしき物がつきでていた。

       [一馬] :「オ! 変形した」

     [メイリン] :「Gモード! これで射撃が可能!
             撃つ時は人差し指の近くに引き金があるからそれを引いて」

       [玲音] :「どこかで見たような気がしますけど」

     [メイリン] :「気にしない、気にしない!」

       [玲音] :「まぁ、いいでしょ」

       [一馬] :「それで、もう1つの方は?」

     [メイリン] :「実際に装備した方が分かると思うけど」

       [一馬] :「時間も無いことだし、装備するか」

     [メイリン] :「OK! 装甲車えGO!」

       [玲音] :「邪魔にならないように、外で待ってます」

       [一馬] :「わかった」

             玲音を置いて二人は装甲車の中に入ってゆく。

             数分後
             桜学園グラウンド
             装甲車前

       [玲音] :「やっと出てきましたね」

             装備を終えた一馬が装甲車の中から出てくる。

       [玲音] :「これはまぁ・・・・・・」

             一馬を見た玲音が引きつった顔を見せる。

       [一馬] :「おい、メイリン」

     [メイリン] :「はい?」

       [一馬] :「何なんだ、このゴッツイのは?」

     [メイリン] :「高速戦闘用装備だけど」

       [一馬] :「じゃあ、この盾みたいなのは? かなり重くてデカイんだけど」

             一馬が盾のような物がついている左腕に視線で指す。

     [メイリン] :「盾&スラスターだけど」

       [一馬] :「・・・・・・、命の保障は?」

     [メイリン] :「まだテストしてないけど」

             それがどうしたの?と言いたげにメイリンが答える。

       [一馬] :「俺に死ねと?」

     [メイリン] :「大丈夫! カズマならやれる!」

       [一馬] :「何を根拠に・・・・・・」

       [玲音] :「そんなことはいいんで」

       [一馬] :(よくね〜よ)

       [玲音] :(何か?)

             玲音が一馬を軽く真顔で睨む。

       [一馬] :「何もないです」

       [玲音] :「それで、何に使うの?」

             玲音がメイリンに尋ねる。

     [メイリン] :「空を飛んでください!」

       [玲音] :「時速は?」

     [メイリン] :「最高速なんと1500Km/h!」

       [一馬] :「死ぬって!」

       [玲音] :「大丈夫でしょう」

       [一馬] :「だから何を根拠に!」

 [メイリン・玲音] :「カズマだから」

       [一馬] :「・・・・・・」

     [メイリン] :「大丈夫! しっかりとリミッターは掛けてあるから。
             ブラックアウトする寸前までだけど」

       [一馬] :「リミッターになってないぞ・・・・・・」

     [メイリン] :「あと、動けるのは3分程度だから」

       [一馬] :「俺は突っ込まないぞ」

       [玲音] :「お湯を沸かしてきますね」

       [一馬] :「突っ込まないぞ」

       [玲音] :「チッ!」

       [一馬] :「3分か・・・・・・、やるしかないか」

     [メイリン] :「燃料ぎれには気をつけてね」

       [玲音] :「カズマ、そろそろです」

       [一馬] :「そうか・・・・・・」

             その場の空気が一瞬にして引き締まる。
             すると、装甲車の中からアラーム音が聞こえてくる。

       [玲音] :「ここから5Km先の上空に3つ反応が出ました」

       [一馬] :「来たか」

             レーダーに反応がでたと同時に、3つの光が上空に現れ、
             一直線のところえと接近する。

       [一馬] :「レイ、防衛が最優先だと命令を出しておいてくれ。
              レイとメイリンは装甲車でどこかに隠れていてくれ」

       [玲音] :「すでにやってます」

     [メイリン] :「装備の実戦テストよろしく!」

             二人は装甲車に入り、別の場所えと移動して行く。

       [一馬] :「やるしかないか・・・・・・」

             一馬は頭部プロテクターをかぶり、左手の盾を握り締める。

     [レイヴン] :「数時間ぶりだな、少年」

             いつの間にか一馬の上空でレイヴンを含める3人が止まっていた。
             その3人の背中には飛行ユニットらしき物がついていた。

       [一馬] :「またあったな、オッサン」
             (あいつ、オレのことを知っている?)

             「5分前行動とはな」

     [レイヴン] :「常識だろ?」

             レイヴンの右手にはランスのような武器が納まっていた。

       [一馬] :「確かにな」
             (何だ、あの武器は? ランスのようだが・・・・・・)

     [レイヴン] :「さて、今度のゲームは私達は破壊するだけだ」

       [一馬] :「ゲームがお好きなようで」

     [レイヴン] :「本戦が始まるまで楽しんでもらわなければならないからな」

       [一馬] :「それは、親切なことで」
             (本戦? いったい何のことだ)

             睨み合う二人

             PM 1:00
             桜学園グラウンド

             レイヴンと一馬以外の二人が散らばる。

       [一馬] :「・・・・・・やるか」

             口をカバーがおおいかぶる

             一馬がブースターにアクセルをいれる。

       [一馬] :「クッ!」

             一馬にレイヴンに直進する。それと同時に、Gが一馬を押しつぶす。

       [一馬] :(まともに息が出来ない!)

             一馬が左手のブレードでレイヴンに切りかかる。

             レイヴンは右手のランスで受け止める。

       [一馬] :「ハッ!」

             空中で二人がぶつかり合う。

     [レイヴン] :「やはり対応が早いな」

       [一馬] :(流石に受け止めるか。だが、パワーなら!)

             一馬がグリップを強く握ると、ブースターの勢いが強くなる。

     [レイヴン] :「パワーでは負けるか・・・・・・」

             レイヴンは一馬に押されて行く。

     [レイヴン] :「しかし、パワーだけでは勝てないぞ」

             レイヴンは横に回転するように一馬を受け流す。

       [一馬] :「クッ!」
             (そんなに簡単なわけがないか)

             一馬はブースターを停止させるが、勢いが収まらず、レイヴンとの距離が離れてゆく。

     [レイヴン] :「後ろが、がら空きだぞ?」

             レイヴンがランスを一馬に向けて構えると、その先端を撃ち放った。
             その針《先端》は空を捻りながら、一馬えと一直線に飛んでいく。

       [一馬] :「当たってヤルカヨ!」

             一馬は盾を横に向けるとアクセルを全開に入れる。

       [一馬] :「クッ!」
             (頭から、血が・・・・・・ひく・・・・・・)

             一馬は盾に引っ張られるようレイヴンの視界から消える。

     [レイヴン] :「流石だ! キャリデオ!」

             数発の弾がレイヴンを掠める。

       [一馬] :(狙いが定まらない。いや、避けたのか?!)

             ブレードをGモードに変えて、レイヴンに接近するん一馬。

     [レイヴン] :「甘いな」

             一馬はGモードからブレードに戻す。

       [一馬] :(受けてくれよ!)

             ブースターを全開にして、突き刺すように突っ込む。

       [一馬] :「ンッ!」
             (気が・・・・・・もたない)

     [レイヴン] :「来るか!」

             二人の武器が再びぶつかる。

             一馬はレイヴンを引きずるように、グラウンドえと近づいてゆく。

       [一馬] :(このまま・・・・・・グラウンドに!)

     [レイヴン] :「フッ」

             レイヴンはかすかな笑みを浮かべる。

       [一馬] :(あと少しで!)

             その刹那、一馬の目の前にはグラウンドが広がっていた。

       [一馬] :「ナッ!」

             一馬はブースターを止め、反射的に両足を前にだす。

       [一馬] :(耐えろ!)

             一馬の両足がグラウンドに激突する。

       [一馬] :「ク−−−−!」
             (足が!)

             体を最大限に折り曲げ、ダメージを受け流す。その状態のまま一馬は数メートル引きずられ、止まる。

     [レイヴン] :「ほ〜。これも耐えたか」

       [一馬] :「ハァハァ、ハァ」

             肩で息をしている一馬が見上げる。そこにはレイヴンが空中で止まっていた。

     [レイヴン] :「そろそろ退くか」

             そう言うと、レイヴンは一馬とはまったく別の方向に武器を向けた。

             一馬がその武器が指す先を見てみると、一人の女子学生が校舎前で呆然と立っていた。

     [レイヴン] :「フッ」

       [一馬] :「何を−−」

             一馬が言い終わる前に、数発の針がすでに飛んでいた。

       [一馬] :「何でこんな時に!」

             一馬は少女のもとえと一直線に突っ込んだ行く。

       [一馬] :「クッ!」
             (レイ! リミッター解除だ!)

       [玲音] :(すでにやってます)

             ブースターは一瞬にして最高速えと上がる。

       [一馬] :「クッ・・・・・・!」
             (視界が・・・・・・真っ暗に・・・・・・)

             少女まで後数メートルのところでブースターが止まってしまう。

       [一馬] :「?!」
             (何でこんな時に!)

             一馬はなるべく勢いを殺さないように、滑り込む。

       [一馬] :(間に合え!)

             数秒、時が止まったかのような感覚に襲われる。

             止まっていた時間が爆発音と共に進み始める。

       [一馬] :「・・・・・・」

   [女子学生A] :「えっ?」

             一馬はすべてを盾で防いでいた。

       [一馬] :「爆発とはな・・・・・・」

       [玲音] :「レイヴンは撤退しました」

             頭部プロテクターから玲音の声が聞こえてくる。

       [一馬] :「本当、危なかったな」

             そう言いながら一馬は頭部プロテクターを外す。

       [一馬] :「フー」

   [女子学生A] :「えっ! えぇえ〜」

             少女Aは一馬の顔を見ると信じられない物を見てしまったような顔をする。

       [一馬] :「な、何だよいきなり?!」

   [女子学生A] :「一馬だよね?!」

             一馬を指差す少女A

       [一馬] :「それがどうした? それより、何でわかる!」

   [女子学生A] :「あのね〜、まぁいいや。ほら私だって!」

       [一馬] :「う〜ん?」

             一馬が少女Aの顔を睨むように見る。

   [女子学生A] :「・・・・・・」

       [一馬] :「・・・・・・アッ!」

             少女Aの顔が明るくなる。

       [一馬] :「デカ女!」

   [女子学生A] :「そっちカイ!」

             女子学生Aが一馬の頭をどつく。

       [一馬] :「ちょっ! どつくなってナナ」

       [奈々] :「何よ、しっかり覚えてるんじゃない」

       [一馬] :「今思えば、お前この学校だったよな」

       [奈々] :「それはいいとして、あんたは何やってんの?」

       [一馬] :「え〜と、説明するとなると長くなるんだが〜」

       [奈々] :「いちいちじらさず早く言いなさいよ!」

      [少年B] :「こんな状況でも平和ボケとはな。ある意味スゴイな」

             何処からともなく少年の声が聞こえてくる。

      [少年C] :「なんだなんだ? ここだけHotだね〜」

      [少年D] :「二人とも、もう少し仲良く行こうよ」



         To be continue......